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ボールねじの位置決め精度は、高品質な軸受を1個選ぶだけで決まるものではありません。固定側と支持側を含む「サポートユニット一式」をどのように組み合わせるかによって決まります。
固定側はアキシアル荷重を受け、位置決め剛性を確保します。一方、支持側はボールねじの温度上昇による軸方向の伸びを許容し、熱応力の蓄積を防ぎます。両端の役割が異なるため、選定基準も異なります。
SYK(嵩陽工業)の低背型シリーズでは、固定側のLKシリーズと支持側のLF/LFAシリーズを組み合わせます。省スペースでありながら、十分な位置決め剛性が求められる精密装置向けのソリューションです。
本記事では、固定側と支持側の役割、組み合わせ方法、仕様の違いを分かりやすく解説し、適切なサポートユニット一式を選定できるようにします。
ボールねじの両端は、個別に発注する2つの部品ではなく、1つのシステムです。固定側が軸方向の位置決め精度を確保し、支持側が熱膨張による伸びを逃がします。どちらか一方でも選定を誤ると、ボールねじ全体の繰り返し位置決め精度が低下します。
SYKは1989年の創業以来、単一工場による一貫生産体制でボールねじサポートユニットを製造しています。固定側と支持側を同じ生産体制のもとで製造し、標準品は1~3営業日で出荷可能です。最低発注数量の制限もありません。
ボールねじは、なぜ軸受単体ではなく「両端のサポートユニット一式」で考える必要があるのか?
ボールねじを両端のサポートユニット一式として検討する必要があるのは、両端がそれぞれ異なる役割を担うためです。一方は固定側、もう一方は支持側、すなわち自由側として機能します。
固定側では、予圧を与えたアンギュラ玉軸受によってボールねじの軸方向位置を固定し、必要な位置決め剛性を確保します。
支持側では、深溝玉軸受によってラジアル荷重を支持しながら、温度上昇に伴うボールねじの軸方向の伸びを許容します。
この「一端固定・一端支持」の構成により、位置決め精度と熱安定性を両立できます。
両端を固定構造にすると、ボールねじが熱膨張した際に伸びを逃がすことができません。その結果、軸受とボールねじの間に熱応力が蓄積します。軽度の場合でも回転抵抗が増加し、深刻な場合には軸受やボールねじの寿命を短くするおそれがあります。
反対に、本来固定側が担うべき役割を支持側に持たせると、アキシアル剛性が不足し、位置決め精度が変動する原因になります。
正しい構成は、固定側にアキシアル荷重を受け持たせ、支持側には熱膨張による伸びを吸収する余裕を持たせることです。両端がそれぞれの役割を果たすことで、精度と安定性を維持できます。
そのため、ボールねじサポートユニットを調達する際は、両端を一式として計画することが重要です。
まず、どちら側を駆動側の固定端とするか、どちら側を自由側の支持端とするかを決定します。その後、それぞれに対応する固定側および支持側の型式を選定することで、機能の重複や不足を防止できます。
固定側だけを選び、支持側を見落とすと何が起こるのか?
固定側だけを選定し、支持側を十分に検討しなかった場合、代表的な問題として、熱応力の蓄積、取付高さの干渉、軸端径の不一致が発生します。
支持側は補助的な部品に見えますが、ボールねじが自由に熱膨張できるか、サポートユニット一式が装置内に収まるかを左右する重要な部品です。
支持側を見落とすことは、熱安定性と取付スペースの問題を組立現場まで先送りすることにつながります。
1つ目の問題は、熱応力です。長ストロークまたは高速回転で使用するボールねじは、運転中に発熱し、軸方向に伸びます。支持端に十分な移動余裕がない場合、熱応力が位置決め誤差や軸受への過大な負担となって現れます。
2つ目の問題は、取付高さです。固定側に低背型のLKシリーズを選定しても、支持側に取付高さの大きい標準タイプを使用すれば、サポートユニット一式を装置内に収められない可能性があります。
低背型のメリットを生かすためには、固定側と支持側の両方を低背型で構成する必要があります。
3つ目は、軸端径の不一致です。ボールねじの固定側軸端と支持側軸端は、通常、異なる直径に加工されています。固定側には固定端の軸径に適合する型式を、支持側には支持端の軸径に適合する別の型式を選ばなければなりません。
固定側だけを確認して発注すると、納品後に支持側を取り付けられないことがあります。両端を同時に計画することで、組立段階で初めて寸法の不一致に気付くといったトラブルを防止できます。
SYKの低背型シリーズはどう役割分担する?LKとLF/LFAの機能
SYKの低背型シリーズでは、軸受構成によって固定側と支持側を区別しています。
- 固定側LK:予圧を与えたDF背面組合せのアンギュラ玉軸受により、軸方向の位置決め精度を確保します。
- 支持側LF/LFA:深溝玉軸受と止め輪を組み合わせ、ラジアル方向を支持しながら軸方向の変位を許容します。
両シリーズとも低背型設計を採用しています。また、同一工場で製造されているため、固定側と支持側の組み合わせ品質を同じ生産基準で管理できます。
固定側のLKシリーズには、LK08、LK10、LK12、LK15があり、軸径8~15 mmに対応します。軸受は予圧調整によってアキシアルすきまゼロを実現し、C3~C10精度等級のボールねじに対応します。
固定側LKの主な役割は、アキシアル荷重を受け、必要な位置決め剛性を確保することです。
支持側は、次の2シリーズに分かれます。
- LFシリーズ:LF08、LF12、LF15
- LFAシリーズ:LFA12、LFA15、LFA20、LFA25
LF/LFAシリーズは軸径6~25 mmに対応します。606ZZ、6000ZZ、6801ZZなどの深溝玉軸受を使用し、止め輪によって位置を保持します。対応するボールねじの精度等級はC3~C7です。
LFシリーズとLFAシリーズの主な違いは、位置決め構造にあります。
LFシリーズは1個の止め輪で固定し、LFAシリーズは2個の止め輪で両側から位置決めします。採用する軸受寸法と対応軸径の範囲も異なります。
SYKでは、固定側および支持側の軸受ハウジング、軸受、止め輪、シール組付けを同一の一貫生産体制で行っています。
つまり、固定端から自由側の支持端まで、低背型サポートユニット一式を共通の品質基準で管理しています。
固定側と支持側を一括して選定すると、実際に何を削減できるのか?
固定側と支持側を一括して選定することで、納期、芯合わせ工数、ロット間の品質差という3つの負担を削減できます。
固定側と支持側を同じ一貫生産メーカーから調達すれば、両端の表面処理、納期、品質基準を統一できます。設計部門はCADデータによる確認を一度に行うことができ、調達部門も1件の発注として管理できます。その結果、装置への採用を迅速に進められます。
具体的なメリットは次の3点です。
1つ目は、納期を統一できることです。SYKの標準品は1~3営業日、特注品は5~7営業日で対応し、最低発注数量の制限もありません。
固定側と支持側を同時に準備できるため、「固定側は納品されたが、支持側がまだ届かない」といった工程上の中断を防止できます。
2つ目は、組立再現性の向上です。同一工場の製造工程により、各セットのハウジング高さ、取付穴位置、軸受の組付け基準を統一できます。製造ロットが変わるたびに、装置を再調整する手間を抑えられます。
3つ目は、設計段階で両端を同時に確認できることです。固定側と支持側の両方に2D/3D CADデータが用意されているため、設計者は装置の機械的エンベロープに両端のユニットを配置し、寸法や干渉の有無を事前に確認できます。
さらに、スラスト試験、塩水噴霧試験、寿命試験、アキシアル方向往復試験などの品質検証にも対応しています。
固定側と支持側を同じ生産体制で管理することで、調達作業だけでなく、設計時の位置合わせから量産時の装置調整まで、導入工程全体の時間を短縮できます。
固定側と支持側はどう組み合わせる?LF/LFAの仕様を一覧で確認
固定側と支持側を組み合わせる基本原則は、「それぞれの軸端径に合わせて選ぶ」ことです。
固定端の軸径によってLKの型式を決定し、支持端の軸径によってLFまたはLFAの型式を決定します。両端の型式番号を同じ数字にする必要はありません。
ボールねじの両端は通常、異なる直径に加工されているため、型式番号を形式的にそろえるのではなく、それぞれの実際の軸端径を確認してください。
固定側と支持側の役割は、次のように比較できます。
| 項目 | 固定側LK | 支持側LF/LFA |
| 軸受構成 | DF背面組合せアンギュラ玉軸受、予圧、アキシアルすきまゼロ | 深溝玉軸受+止め輪 |
| 主な機能 | アキシアル荷重の支持、位置決め剛性の確保 | ラジアル支持、熱膨張による伸びの許容 |
| 対応軸径 | 8~15 mm | 6~25 mm |
| 対応ボールねじ精度 | C3~C10 | C3~C7 |
支持側LF/LFAの仕様は次のとおりです。ボールねじ支持端の軸径に合わせて選定します。
| 型式 | 軸径d1(mm) | 使用軸受 | 止め輪 | 本体B×H(mm) | 質量(kg) | 対応ボールねじ |
| LF08 | 6 | 606ZZ | S 06 | 62 × 31 | 0.19 | C3~C7 |
| LF12 | 10 | 6000ZZ | S 10 | 70 × 38 | 0.30 | C3~C7 |
| LF15 | 15 | 6002ZZ | S 15 | 80 × 42 | 0.36 | C3~C7 |
| LFA12 | 12 | 6801ZZ | R21 | 62 × 31 | 0.20 | C3~C7 |
| LFA15 | 15 | 6902ZZ | R28 | 70 × 38 | 0.26 | C3~C7 |
| LFA20 | 20 | 6804ZZ | R32 | 80 × 42 | 0.35 | C3~C7 |
| LFA25 | 25 | 6005ZZ | R47 | 95 × 58 | 0.62 | C3~C7 |
用途別の選定方法も明確です。
半導体製造装置、医療機器、卓上型自動化装置など、設置スペースが限られ、清浄度が求められる装置では、固定側にLK、支持側にLFまたはLFAを選定し、両端とも無電解ニッケルめっき仕様に統一します。
一般的な工場環境では、両端とも黒染め仕様を選択できます。
同じボールねじの両端で異なる表面処理のハウジングを使用しないよう、固定側と支持側の表面処理は統一することをおすすめします。
低背型サポートユニット一式を選ぶための3ステップ
低背型サポートユニット一式を選定する際は、次の3ステップを確認してください。
第1ステップは、アキシアル荷重と位置決め要件の確認です。ボールねじに作用するアキシアル荷重と必要な位置決め剛性に基づいて、軸径8~15 mmに対応する固定側LKを選定します。
第2ステップは、支持端の軸径確認です。ボールねじ支持端の軸径を測定し、軸径6~25 mmに対応するLFまたはLFAから適切な型式を選びます。
第3ステップは、表面処理の決定です。使用環境に応じて、固定側と支持側の両方を黒染め仕様または無電解ニッケルめっき仕様に統一します。
ボールねじの仕様がすでに決まっている場合は、次の4項目をSYKへお知らせください。
- 固定端の軸径
- 支持端の軸径
- ボールねじの精度等級
- 使用環境
これらの情報に基づき、SYKが低背型固定側と支持側の適切な組み合わせ、および納期をご案内します。
固定端から自由側の支持端までを同じ生産体制で管理することが、省スペース、高剛性、短納期を同時に実現できる理由です。
よくあるご質問(FAQ)
Q1:固定側と支持側は何が違いますか?必ずセットで購入する必要がありますか?
固定側はアキシアル荷重を受け、位置決め剛性を確保するため、予圧を与えたアンギュラ玉軸受を使用します。
支持側はラジアル荷重を支持するとともに、ボールねじの熱膨張による軸方向の伸びを許容するため、深溝玉軸受を使用します。
一般的なボールねじは「一端固定・一端支持」で使用するため、両方を組み合わせる必要があります。必ずしも同時に購入する必要はありませんが、1つのシステムとして選定しなければならず、固定側と支持側の機能を入れ替えることはできません。
Q2:支持側のLF/LFAには、なぜアンギュラ玉軸受ではなく深溝玉軸受を使用するのですか?
支持側の役割は、ラジアル方向を支持しながら、ボールねじが軸方向へ自由に熱膨張できるようにすることです。深溝玉軸受は、この自由側の支持構造に適しています。
支持側にも完全に固定されたアンギュラ玉軸受を使用すると、ボールねじの熱膨張を逃がすことができず、熱応力が蓄積します。
アキシアル方向を固定する役割は、固定側のLKが担います。
Q3:LFシリーズとLFAシリーズの違いは何ですか?どちらを選べばよいですか?
LFとLFAはいずれも低背型の支持側シリーズです。主な違いは、位置決め構造と対応軸径にあります。
LFシリーズは1個の止め輪で固定し、軸径6~15 mmに対応します。LFAシリーズは2個の止め輪で両側から位置決めし、軸径12~25 mmに対応します。
ボールねじ支持端の実際の軸径と必要な位置決め構造に基づいて選定してください。判断が難しい場合は、ボールねじの仕様をSYKへ提示することで、適切な型式の提案を受けられます。
Q4:固定側と支持側には、必ず同じ表面処理を指定する必要がありますか?
同じ表面処理に統一することをおすすめします。
同じボールねじの一方に黒染め仕様、もう一方に無電解ニッケルめっき仕様を使用すると、クリーンルームや高湿度環境において、両端の耐食性に差が生じる可能性があります。
一般的な環境では両端を黒染め仕様にし、クリーン環境または耐食性が必要な用途では両端を無電解ニッケルめっき仕様にしてください。
Q5:支持側のLF/LFAは、どの精度等級のボールねじに対応しますか?
支持側のLF/LFAシリーズは、C3~C7精度等級のボールねじに対応します。固定側のLKシリーズは、C3~C10精度等級に対応します。
固定側と支持側を組み合わせる場合は、システム全体として、より制限の厳しい側の対応範囲を基準に選定してください。
Q6:セットで注文する場合の納期と最低発注数量は?支持側だけを追加購入できますか?
SYKの標準品は1~3営業日、特注品は5~7営業日で対応します。最低発注数量の制限はありません。
固定側と支持側をセットで購入することも、固定側または支持側だけを追加購入することも可能です。
支持側だけを追加購入する場合は、ボールねじ支持端の軸径と、現在使用している固定側の型式をお知らせください。仕様に適合する支持側を選定します。
SYK(嵩陽工業)へのお問い合わせ
低背型固定側と支持側の組み合わせ(LK × LF/LFA)について選定提案をご希望の場合、2D/3D CADデータが必要な場合、またはセット全体の納期を確認したい場合は、SYKまでお問い合わせください。
ボールねじの固定端軸径、支持端軸径、精度等級、使用環境をお知らせいただければ、SYKが適切な組み合わせ型式と納期をご案内します。